この記事は、つぁいにゃお氏企画の the 言語 Advent Calendar 2018 に寄せたものです。
はじめに
こんばんは、兎月くみです。
突然ですが私は Lianiis Min(リアニース・ミン)という人工言語を創作しています。
今回は the 言語 アドベントカレンダー の臨時フィルインとして、そのお話をしたいと思います。
【第1回「音」編】12月2日
【休憩】12月9日 ←今回
【第2回「形」編】12月12日
【第3回「人」編】12月22日
創作の経緯
Lianiis Min の創作に至った経緯を書きます。
私は学生時代にスラヴ諸語1を専攻していましたが、これまでに基礎的な言語学(音声学・形態論といった主分野のほか、歴史言語学・比較言語学・言語類型論といった周辺分野)について学ぶ機会を得ました。
また、フランス語・アラビア語・トルコ語といった多様な系統の言語に触れることもできました。
思い返してみれば、幼少期から他言語に関心が高かったと思います。
それに加えて、私は動物(鳥獣)が大好きです。
以前は秋田犬を飼っていたこともありますし、今は実家で2匹の猫(+外猫1匹)を飼っています。
或いは時にひとりで動物園に出向いて、写真を撮ったり触れあったり2するのも好きです。
***
さて、そんな折ふと「猫の言語を考えてみたら面白いのでは」と思い至ったのです。
そして猫の口で調音できそうな音素3を独断で絞り込み、極めてシンプルな文法を持たせた言語 Mnen(ミュン)を考案しました。
そんなわけで暫くは Mnen の創作を続けていたのですが、およそ2年前のことだったでしょうか
「人語のように運用できる、より進化した言語にしてみよう」と思ったのです。
***
そうして誕生したのが Lianiis Min(リアニース・ミン ※通称りあみん)です。
ロマンス諸語(特にフランス語)の音韻変化を参考にし、Mnen の猫らしい発音を、より人語に近い発音に置き換えました。また「格」の概念を導入したり、時制や品詞を整理したりして、本格的な言語として運用が出来るようになりました。
現在では語彙数1300以上にまで成長し『不思議の国のアリス』第1章が概ね訳せるようになりました。
また理解者も増え、嬉しい限りです。
詳細はこちらのwebサイト www.lianiis.com を参照してください。
特徴
りあみんの特徴をいくつか簡単に紹介しておきます。
① OSV語順の膠着語である
りあみんは “Nedaain liafee maafi.“(ネズミを/トリが/食べる)のように Object – Subject – Verb(目的語 – 主語 – 動詞)タイプの語順を持っています。
別に、珍しい(下記画像参照)からといってOSV語順にしたわけではありませんよ!(いや、全く否定はしませんが)

これは古語 Mnen に「目的語」という概念が存在せず、「ネズミの食べられること、トリの食べること4」といった具合に「受動文+能動文」のペアによって表現していたことに由来します。
りあみんでは前半の受動態が大分省略され、目的語として解釈されるようになりました。
また、動詞に人称語尾5が付きますので “Sizaafia.“(私は寝る)のような動詞のみの文も成立します。
② 子音と身体に関係がある
りあみん最大の特徴が、各子音と身体の部位が対応しているという点です。

例えば L の子音は「耳」、F の子音は「手足」に関係しており、
・laa(耳)lan(音)leefi(判る)liifi(知る)la(上の方向)lu(数字の2)…
・faa(手足)fan(地面)feevi(跳ぶ)fiivi(触る)fa(下の方向)fu(数字の4)…
といった具合に、共通する母音や接辞を付けて単語を派生させていきます。
③ 実は独自の文字がある
りあみんでは「ネコビト文字」という文字体系が用いられます。
耳や眼や尻尾の形をベースに考えられており、種類としてはアブギダになります。
前述したように子音と身体部位が一致しているため、表意文字的な要素6も多少あると言えます。
サンセリフ体(ゴシック体)と筆記体にあたる二種類の書体を考案しました。


上の角ばった文字は、一応 TrueType フォントとして扱えるようになっています。
読み方は結構難しいので、そのうちサイトの方にしっかりと解説を載せたいと思います。
Lianiis Min 参考資料
りあみんの雰囲気を味わって頂くためには、下記の資料を見てみてください。
① 音声資料
『主の祈り』Lord’s Prayer in Lianiis Min (MP3:400KB)
『インターナショナル(朗読)』The Internationale in Lianiis Min (MP3:416KB)
② テキスト資料(Lianiis wiki)
『主の祈り』Lord’s Prayer
『インターナショナル』The Internationale
『歓喜の歌』Ode to Joy
『オー・シャンゼリゼ』Les Champs-Élyzées
『レット・イット・ゴー』Let It Go
***
というわけで、簡単に私の創作言語を紹介させていただきました!
興味があれば是非りあみんでお話しましょうね。
ではでは!