「何か楽器をやってみたい!」
「弦楽器や管楽器は難しそう…」
「あわよくばDTMで作曲も…!」
…という場合に、電子鍵盤楽器をまず候補に挙げる方がいます。
なるほど確かに、キーボードならば叩けば正しい音程は出ますし、右手でメロディを追っているだけでも十分楽しめます。PCと接続できる拡張性もあります。
また、モノによっては数千円から手に入ることもあり、予算的なハードルも低いですね。
こうした理由で、私の周りにも「挑戦してみたいかも…」という者が数人います。
その判断は決して間違っていないと思うのですが、鍵盤楽器には様々な種類があり「見た目はそっくりなのに中身が全くの別モノ」という世界です。
楽器をよく知らない人にとっては、ここがかなり厄介なハードルとなっているようです。
そこで、ライトユーザーの私なりに、それぞれの種類について解説してみたいと思います。
①電子キーボード(ミュージカル・キーボード)
こういう呼称で正しいのかは微妙ですが、一番ベーシックで身近なキーボードです。
家電量販店の楽器コーナーによく置かれており、試奏できるようになっているのを見たことがあるのではないでしょうか。
電子キーボードの特徴は以下の通りです。
- 様々な音源を内蔵している
- スピーカーを内蔵している
- 価格が比較的安価
- 初心者向けのモデルも多い
「音源」と「スピーカー」を内蔵しているので、この楽器さえあればいろいろな音が出ます。
光る鍵盤などを用いて演奏の練習ができるモデルもありますね。
メーカーから演奏用データをダウンロードし、流行りの曲を練習することもできます。
次に挙げる②MIDIキーボードとしても使える機種が多いです。
主要なメーカーとしては CASIO, YAMAHA などがあります。
②MIDIキーボード(MIDIコントローラー)
PC周りに理解がある人ならば、よく見たり聞いたりしたことがあると思います。
DTM作曲者や、ボカロPなどが主に使っているような印象ですね。
ですが、この「MIDIキーボード」とはどういうものかというと…
- 普通は音源を内蔵していない
- スピーカーを内蔵していない
- 価格が比較的安価
- 各ボタンに色々な設定1を割り振れるものもある
といった感じです。
全く事情を知らない人が、価格が安い入門用の楽器だと思って購入を検討してしまう場合があるようですが、これは「楽器」というよりも「コントローラー」の類です。
つまり、「演奏に特化したマウスやゲームパッドの一種」であると言っても過言ではないかもしれません。
音源を内蔵しているモデルも存在しますが、基本的には「PCに入っているMIDI音源」を「PCのスピーカーから鳴らす」ためのキーボードです。特にDAWソフトウェアを持っていて、打ち込みではなく演奏でMIDIを録音したいという人向けのデバイスです。
主なメーカーは Roland, KORG, AKAI など。
③シンセサイザー
本格的な作曲をはじめ、ライブ・パフォーマンスなどで圧倒的に用いられているるのが、いわゆる「シンセサイザー2」です。数万円のものから、何十万円もする非常に高価なモデルまであります。個人的な印象としては「電子楽器の王様」的な位置づけです。
シンセサイザーの特徴としては
- パワフルで多彩な音源を多数収録している
- 様々なパラメーターを調整し、自分で細かい音作りが可能
- 別売の音源をインストールすることもできる
- 単体でトラック録音ができ、PC無しで作曲できるものもある
- スピーカーは内蔵していない場合が多い
といった感じでしょうか。
それだけでは音が出ないので、アンプやスピーカーを所有している必要3があります。
もちろんMIDIキーボードとしても使えますが、楽器自体に高品質な音源が搭載されています。
使いこなすには、音の仕組みや膨大な数の機能を理解する必要があるイメージです。
主なメーカーは Roland, KORG, YAMAHA など。
④電子ピアノ
電子鍵盤楽器をすべて一緒くたに「電子ピアノ」と呼んでしまう人も時折見かけます。ですが、こちらはあくまでも「本物のピアノを電子化した」楽器という位置づけです。
電子ピアノの特徴としては下記のようなものがあります。
- いくつかの音色が選べるが、かなり限定的
- スピーカーを内蔵しているものも多い
- 本物のピアノに似せた重い打鍵感を再現している
- 上記のキーボード類に比べて鍵数が多く、幅がある
- しっかり脚まで付いた家具的なものもある
なので「ピアニストがライブのために持ち運ぶ」あるいは「音が大きく場所を取る本物のピアノは家に置けない」といった需要に応えるための楽器であると言えます。
主なメーカーは CASIO, KAWAI, KORG, YAMAHA など。
⑤エレクトーン
「エレクトーン」は YAMAHA の製品名です。過去には KAWAI の「ドリマトーン」のような類似楽器もありましたが、基本的には YAMAHA のガラパゴス的な楽器です。数十万円から数百万円とかなり高価なものです。
キーボードを上下二段にした鍵盤に加え、脚で演奏する鍵盤も付いて4います。
この構造により「メロディ」「伴奏」「ベース」を一人で同時に演奏することができるため、完全にライブ・パフォーマンスに重点を置いた楽器であると言えます。
そうした性質と、動作の複雑さ、見た目の華やかさなどから、習い事としてもかなり市民権を得ているのではないでしょうか。電子楽器にしては珍しいですね。
機能的には①電子キーボードと③シンセサイザーの中間くらいだと思います。
ですので、超高価なMIDIキーボードとしても使えます。
当然 YAMAHA から沢山の演奏用データが入手できます。
まとめ
というわけで、かなり雑な感じではありますが、各種鍵盤楽器の解説でした。
どれも基本的・平均的な機能について述べているため、製品によっては各楽器の中間的な機能を有している場合もあります。もちろん、ここでは取り上げていない機能も多数あり、日々進化を続けています。
簡単にまとめると…
- とりあえず鍵盤楽器をやってみたい人・・・「①電子キーボード」
- 格好いい生演奏を重視する人・・・「①シンセサイザー」「⑤エレクトーン」
- PCでの作曲がメインの人・・・「②MIDIキーボード」「③シンセサイザー」
- ピアノの感覚が好きな人・・・「④電子ピアノ」
といった基準で製品を選んでみると良いのではないでしょうか。
初心者のみなさまのお役に立てましたら幸いです。
ではでは、おやすみなさい。